「昭和ドキドキ」(戦争の記憶を後世に伝えるためのサイト)で紹介 143
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朝日新聞『乱気流 総選挙』
   戦争を語る言葉 本物か


 朝日新聞、2012128日(夕刊)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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−太平洋戦争開戦71年 元兵士の思い−

 

「多くの人々が戦地にかり出され、死に追いやられた太平洋戦争の開戦から8日で71年。「国防軍」、「核シミュレーション」…。威勢のいい言葉が飛び交う師走の衆院選で、自分たちが守ろうとしたこの国を誰に託すべきか。元兵士たちは見定めようとしている。」

 

こんな書き出しで始まるこの記事(清水大輔、多知川節子の署名入り)を見て少なからず衝撃を受けた。

なにか勇ましいことを声高にいう人に、いつの間にか引きこまれている自分に気がついたからだ。そして彼らは「国のため」というこの言葉をよく使う。この言葉を野放しにしてはいけない。それは人をおかしくし、現実を見えなくするからだ。あぶない、あぶない。危険だ、近づいてはいけないのだ。

先の戦時下、軍と一体になった政治家は「お国のため」を言い募って戦争を拡大した。数え切れない日本人が病気と飢えで死んだ。310万人の日本人が戦争で亡くなったのだ。

この記事では苛酷な戦争体験をした三人の生き残り兵士の思いが写真入りで書き込まれている。一人は戦闘機「隼」の元操縦士、もう一人は中国・江西省から3千キロを補給がないまま行軍した。もう一人は真珠湾攻撃に出撃した空母・飛龍に乗艦した兵士である。

 核兵器の使用を示唆する人まで選挙に顔を出している。何と言うことか。過去の虚しい体験は何一つ活かされては居ないではないか。

 

(2012.12.13)  森本正昭 記