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朝日新聞 Globe 
2016年4月3日

テロが「戦争」を変える



NHK国際報道

特集「新たなテロの時代」―背景に何が









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テロが「戦争」を変える(朝日新聞)

 米国における同時多発テロで幕を開けた21世紀、戦争が形を変えてきたといえる。

何が変わったのか。太平洋戦争は広い戦場で戦われた。国対国の総力戦であった。これに対してテロ戦争は大都市の市街地で行われる。テロリストは一般市民に溶け込んでいる。

攻撃される対象は既製の国家ではあるが、攻撃する側はISのようにあいまいな国家である。所在する場所や地域も特定されない。

以下のようなことが興味を持たれた。

1)対テロ対策によって警察は軍隊なみの重装備に身を固めなくてはならなくなった。さらには高度な先端技術による情報監視が必要になった。

2)武器を売った者は、それがやがて自分に向けられる日がやってくることを知らなければならない。

「9・11の原因を考えてみよう。1979年ソ連がアフガニスタンに侵攻した。対抗して米国は現地のムジャヒディン(イスラム戦士)に武器を供給する秘密作戦を実行した。これは奏功しソ連は撤退したが、ムジャヒディンはその武器を使ってイスラム原理主義組織タリバーン、そしてニューヨークで9・11を実行したアルカイダになった。

日本もいつの間にか武器輸出をする国になっているが、一度売ってしまった武器はだれもコントロールできない。いつか日本の市民に対して使われるに違いない。(アンドルー・ファインスタイン、元南ア国会議員)」

3)様々なデータが提示されている。

・ 世界の暴力対策コストは世界の農業生産高を遙かに超えている。

  テロによる死者は世界で急増している。

  米国のIS対策費用や対テロ戦争の死者数がグラフ化されている。 

テロによって破壊されるものと、それを防衛するための仕組みを構築する費用は莫大な額に達している。その総額は人間が自らの生活を維持するに必要なレベルを超えている。愚かなことである。

 

「新たなテロの時代」―背景に何が(NHKテレビ)

2015年12月、カリフォルニア州における銃乱射事件が起こった。2015年11月にはパリで、2016年3月にはベルギーで同様のテロが起こった。カリフォルニアの事件で犯人と目されたのは、サイード・ファルーク容疑者であった。ファルークは敬虔なイスラム教徒であり、大学ではごく目立たない学生であった。しかしアブ・ムサブ・アル・スーリー(元アルカイダの幹部)の思想に影響を受けていた。

その思想とは効果的に社会にダメージを与えるには、少人数が自発的に身近な場所で起こすテロが有効であるという考え方である。

このような普通の市民による個別テロの思想が世界に拡散しつつある。少人数によって市民のよく利用するカフェやスタジアムがターゲットとする。その数をこなすことによって現象にまで高めることができるという。これに対する打つ手はなく、阻止するのは難しい。


(2016.04.27) 岳人 記