「昭和ドキドキ」(戦争の記憶を後世に伝えるためのサイト)で紹介 178
Part1に戻る Part2に戻る
吉浜忍 『沖縄の戦争遺跡 〈記憶〉を未来につなげる』 吉川弘文館、2017
戻る |
本著は平和教育の実践から学んだ「戦争遺跡の見方・考え方の成果の集大成である」と書かれている。サブタイトルに「〈記憶〉を未来につなげる」と書かれているのは、沖縄が戦争によって体験したすべてのことを、若い人々によって未来に受け継いでもらいたいという強い意志の表明であろうか。
私が「昭和ドキドキ」の177番目に取り上げた上原正三著の「キジムナーKids」ではガマがしばしば登場する。沖縄戦を知らない者はまずガマを知らなくてはならないと感じた。 吉浜忍氏はプロローグに「ガマでの「暗闇体験」を実施することで、ガマには沖縄戦追体験の「教育力」があることを確信した。」と述べている。 ガマの中での暗闇体験は現地に行かないと不可能である。しかし本著の戦争遺跡めぐりを見ること・読むことだけでも意義があるものと感じた。 ガマは琉球石灰岩層が侵食などの原因によってできる地下洞窟である。壕という場合もあるが、これは軍が人工的に構築した防空壕である。 沖縄戦は「鉄の暴風」といわれ、おびただしい数の砲弾が打ち込まれた。地上での生活は死を意味したので、住民は自然に出来たガマの中で生き延びようとした。ガマは集団自決の悲劇が起こった場所でもある、軍民混在の場合には軍がガマを支配し住民は虐げられたという。病院が設置されたものもある。ガマの奥深くで生活し生き続けることができた場所もあったと報告されている。
(2018.03.02) 森本正昭 記 |