「昭和ドキドキ」(戦争の記憶を後世に伝えるためのサイト)で紹介 166
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中日新聞の報道
沖縄戦70年 続く苦悩
慰霊の日




詩を朗読する知念捷さん


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 6月23日、太平洋戦争の末期に起こった沖縄戦の戦没者を追悼する慰霊の日、沖縄県が主催した「沖縄全戦没者追悼式」が行われた。

テレビでその追悼式の中継(NHK)がなされたほか、同日のテレビ朝日の報道ステーション、TBSテレビのNEWS23を見て基地問題に改めて深い関心を抱いた人が多かったのではないか。大変わかりやすい解説が注目を集めていた。

私は翌日の新聞報道に関心を持って見ることになった。テレビとは違って印刷媒体の特徴をどのように発揮できるか注目した。

中日新聞(6月24日朝刊)の場合、かなりの紙面をこの沖縄慰霊および関連記事に使っている。一目して分かったことは、時の政府の圧力に負けることなき新聞社の強い意志を示したことである。

追悼式で発表した声明文の全文が掲載されている。

沖縄知事の平和宣言(全文)、首相あいさつ全文、与勝高校3年の知念捷(まさる)さんの鎮魂の祈りの詩である。新聞1ページのスペースは15段からなっているが、翁長知事3段、知念捷さん3段、安倍首相1段の配分である。活字のサイズも、首相の文章は小さく詰め込まれている。

この背景に編集者がどれだけ議論をし、みずからの意志を示したかが読み取れる。ときの政府の意にそぐわないことをやろうとするには勇気が要ることである。

追悼式のテレビ中継をみても、安倍首相は終始目を落とし、おそらく誰か側近の人の書いたであろう文章を丸読みしていた。戦没者を悼む気持ちはまるで感じられないのだ。背後に「帰れ!」「何しに来たんだ!」などの怒号が飛び交っていた。気の毒としか言いようがない。

辺野古に米軍の新基地を強引に造ろうとしていること、憲法をねじ曲げた解釈の変更。これらに対する沖縄の心を思いやらねばならない。そして不平等な地位協定が沖縄に住む人々を苦しめている現実がある。まずここから手をつけてはどうだろうか。

 

最後に知念捷さんの詩は素晴らしかったと伝えたい。

「みるく世がやゆら」これは沖縄の島言葉で「平和でしょうか」という意味だそうです。鎮魂の祈りを込めた問いかけになっている。

 (2015.06.28)  森本正昭  記