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癒やし系小説
100年の空白を埋めた岩石学者
菊池安と白木敬一


電子書籍
 

著者 森本正昭

出版社 22世紀アート


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 岩石をテーマにした小説が書けるだろうか。
東京都の花はソメイヨシノであるが、東京都の岩石はと問われても答えることはできない。正解は無人岩なのだが、ほとんど知られていない。

この無人岩を最初に発見したのは菊池安である(1887)。2度の世界大戦をまたいで忘れ去られていたこの岩石を約80年後に白木敬一らが研究を再開する。白木は菊池の思いを背負って小笠原諸島・父島を再訪する。この地は米国の統治下にあった。懸命の努力の甲斐があって、その成果は世界中の関連学者に研究の輪が広がっていった。

人は生涯において様々な選択と決断を迫られるものである。人生はせいぜい100年であるが、岩石学の対象物は100万年単位の長さである。一度研究の方向性を決めるとやり直しは効かないものである。
家族はどのような思いで研究者の父を眺めていたのだろうか。


(2022.04.04) 
 森本正昭 記