「昭和ドキドキ」(戦争の記憶を後世に伝えるためのサイト)で紹介 069
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パレード、2007 在郷軍人会の防空演習
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退役軍人と地域の少年たちを描いた小品である。 退役軍人とか在郷軍人というのは、現役を引退した軍人のことである。地域の誇りであった人物の場合、その人が地域の少年たちに与える影響は大きい。少年たちは軍人にあこがれたり、軍に志願したりする。 並の人の場合、地域との関わりはむしろ退役してからである。とにかく威張っていて、肩肘張っているので、その周辺は暮らしにくくなるのである。 たとえば前方からその人物がやってくると、これは面倒なことにならなければよいがと感じ、道を除けたりする。私の小さいときの体験では、軍服を着て腰に軍刀をさげ、用もないのに町内を歩き回っている退役軍人がいた。この小説に出てくる人物に似ている。 この小説ではその感じがよく描けていて面白い。 退役という言葉を知らない少年たちは、「鯛焼き」だと思って、顔に似ずあの人は鯛焼きが好きなんだと想像し「タイヤキ」とあだ名していた。ユーモアのある場面がいくつも展開する。威張りちらし、傍若無人に振る舞っていても、後ろ姿はなぜか寂しいのである。 小品なので物語の解説はひかえたい。 注)退役軍人または在郷軍人:現役を離れ予備役となった、または退役した軍人をいう。兵の現役年限は陸軍2年、海軍3年で、下士官以上はある一定の年齢までが現役である。その年齢に達したら、予備役編入となる。下士官は40歳、士官は少中尉45歳、大尉48歳、少佐50歳、中佐53歳、大佐55歳、少将58歳、中将62歳、大将65歳。 現代のサラリーマンの定年は中将から大将クラスということになる。
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