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  水田まり

随想 『伊勢本街道 玉城町の善楽寺』
時代小説 『うのと駿之介』

平成30年 勢陽文芸
 随想に出てくる善楽寺は伊勢本街道の終着地点近くにある。美しい藤の花が咲く名所でもある。著者の弟さんとこのお寺の坊守さんとは同級生である。弟さんはこの年の藤の花が咲くのを見ずに旅立たれたという。著者の深い悲しみに寄り添うように坊守さんのお話が続く。

 『うのと駿之介』は著者が最近取り組んでいる時代小説である。
毎日新聞の地方版には勢陽の記念特集号とともに、水田まりさんの小説への新しい意気込みが紹介された。顔写真つきですよ。
純文学系からエンターテイメント系小説への方向転換を意識したという。作品にはなるほどと思わせる雰囲気が漂っている。雰囲気って、江戸時代の情景が巧みに描かれている。

 純文学とエンタメの違いは何かを考えることになった。

エンタメ: 娯楽、楽しむ、時間つぶし、旅の友、寝転がって読む
純文学: こまかいところにまで配慮された文章表現、思想性、書斎で読む

純文学: 外国語には純文学という単語はないそうだ。美しい日本語で書く芸術性のある文学、背後に真理が隠れている。何度も読みたくなる。理解不能に陥ること多々あり。読者志向ではない。
エンタメ: 読みやすい。興味がなければ二度と読むことはない。読者志向である。

両方に属するものはないのか。もちろん有りですね。
以上、森本正昭 記